ED治療薬として世界シェア1位のシアリスは、有効成分が「タダラフィル」という物質です。一方、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬として服用される「ザルティア錠」も同様に、有効成分としてタダラフィルを含有しています。そのため、用途が全く違うこの2つの治療薬を「同じように使えるのか」という質問を頂くことがあります。今回はこのザルティア錠とED治療の関係について、詳しく解説したいと思います。
ザルティア錠について
まずは、ザルティア錠についてご説明します。有効成分「タダラフィル」を含む医薬品であり、ザルティア錠は、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療を目的とした投薬治療に用いられる治療薬です。何故この薬がED治療のサイトで紹介されるかと言うと、このザルティア錠の有効成分がシアリスと同様の「タダラフィル」であることから、「ED治療にも使用できるのではないか」というご質問を良くいただくためです。
前立腺肥大症とは前立腺が肥大化してしまう疾患のことで、尿道が圧迫されてしまうため、排尿障害を引き起こしてしまいます。ザルティア錠の有効成分「タダラフィル」には、前立腺及び膀胱の筋肉の緊張を緩和する効果や、血管拡張作用による血流の促進などの効果があります。これらの効果により排尿障害への改善を目的とした、れっきとした承認済みの治療薬です。
ザルティア錠とシアリスの比較について
ED症状の改善が目的のED治療薬として開発されたシアリスは、バイアグラ・レビトラに続く第三のED治療薬です。最大で約36時間程度効果が持続するのが特徴で、服用のタイミングに寛容なため非常に人気があります。このシアリスの有効成分は「タダラフィル」であり、もともとED治療薬のための有効成分として研究されてきました。
しかしシアリスの登場後、前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善にも効果があることが判明します。これを受け、その後も研究が続けられて、2014年に新たな治療効果である「前立腺肥大症による排尿障害改善薬」として、「ザルティア錠」の名で製造と販売が解禁となりました。
薬名 | ザルティア錠 | シアリス錠 |
有効成分 | タダラフィル | タダラフィル |
製造販売元 | 日本新薬株式会社 | 日本新薬株式会社 |
製造販売承認年月日 | 2014年1月 | 2007年7月 |
使用・処方の目的 | 前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善 | ED(勃起不全)の改善 |
保険適用 | ○ | × |
対応する症状の違い
同じ有効成分を持つザルティア錠とシアリスですが、治療を目的とする症状は全く違います。ザルティア錠は前立腺肥大症による排尿障害の改善を目的として投薬治療される薬です。シアリスは、ED症状の改善を目的として、投薬治療されるED治療薬です。有効成分のタダラフィルを含んでいるということ以外は、対応する症状も目的も全く別の治療薬であることが分かります。
保険適用の違い
ザルティア錠を「ED治療へ利用できないか?」と考える方は、この保険適用について気にされている場合がほとんどです。通常、バイアグラ・レビトラ・シアリスのED治療薬は、ジェネリック医薬品も含めて保険適用はされません。いわゆる自由診療となりますので、その薬代を負担に感じる方もいらっしゃいます。
一方ザルティア錠は保険適用される治療薬です。そのため、「ED治療薬であるシアリスを処方してもらうより、ザルティア錠を処方してもらう方が、安く治療薬が手に入るのではないか」という考えに至るわけです。
確かに、ザルティア錠は保険適用されますので、何割かの自己負担で済みます。しかし、これはあくまでも「前立腺肥大症による排尿障害」を治療する目的で処方される場合のみです。ED治療で医療機関を受診して、その治療薬としてザルティア錠を処方されることはありません。そのため、ED治療を目的としたザルティア錠の保険適用での購入は、現実的ではありません。
不妊治療に用いる場合のED治療薬の保険適用の解禁
これまでバイアグラ・シアリスの2つのED治療薬は、保険は適用されていませんでした。ですが、不妊治療が保険適用となったことを受け、バイアグラ・シアリスの2つのED治療薬も、不妊症治療で使用する場合に限り、2022年4月から保険適用の対象となりました。そのため、ご夫婦で不妊治療に取り組まれている方がEDなどでお悩みの場合、保険を利用してバイアグラ・シアリスを入手できるようになりました。
これはあくまで「不妊治療に取り組んでいる場合のみ」に適用されるケースです。そのため、通常の患者様はこれまで通り自由診療となります。とは言えED治療薬の重要性が一般社会に認知され、このように不妊治療に用いられることを推奨されるようになったことは、ED治療全体から見れば非常に明るい一歩と言えます。
ザルティア錠をED治療目的としてお勧めできない理由
前述の通り、同様の有効成分と保険適用の有無だけを見て、ザルティア錠をシアリスの代わりに使いたいと考えることは非常に危険です。ED治療薬に限らず、医薬品は莫大な開発コストと長い臨床試験を経て安全性を証明し、厚生労働省に承認されてやっと製造・販売が許可されます。そのため、本来の治療目的以外での使用は予想もつかないような重篤な副作用を引き起こす可能性があるからです。実際に、適切な治療目的のために適切な治療薬を服用しても、副作用のリスクはゼロにはできません。薬がその効果を発揮することと、副作用のリスクは不可分なのです。
また日本では、本来の治療目的に沿って承認された治療薬を服用して健康被害に会った場合、「医薬品副作用被害救済制度」という救済制度を受けることが出来ます。これは健康被害に会った場合、その治療費などを保証してもらえる制度で、医薬品の安全を担保する意味で非常に有効な制度です。
しかしザルティア錠をED治療目的で服用して万が一健康被害にあっても、それは本来の治療目的とは違う用途に使用したことになります。そのため、この医薬品副作用被害救済制度を受けることが出来ません。このように想定していない副作用のリスク、健康被害に会った場合の未保障のリスクなど、わずかな価格差では割に合わない多くのリスクがありますので、意図していない目的での使用は絶対にやめましょう。
ED治療には正規品のシアリスを処方してもらいましょう
いかがでしょうか、ザルティア錠とシアリスはその有効成分自体は同じであっても、治療目的や期待する効果が全く違うものであることがお分かりいただけたかと思います。保険適用についてメリットを感じる方もいらっしゃいますが、副作用のリスクや未保障のリスクがあるためお勧めできません。
シアリスはED治療薬として非常に優秀な治療薬です。ED症状の改善には、正規のシアリス・シアリスジェネリックを用いるようにしましょう。処方に関して費用が気になる方は、トータル駅前クリニックにご相談ください。診療費は初診・再診共に無料で、かかる費用はお薬代のみです。オンライン診療にも対応しており、ご自宅まで郵送でお薬を届します。安価なジェネリック薬も多数ご用意しておりますので、何でもお気軽にお問い合わせください。