アボダート(Avodart)は、ザガーロと同様の有効成分である「デュタステリド」を含む、いわゆるザガーロのジェネリック医薬品です。しかし日本国内では承認されていない、海外製の非正規未承認AGA治療薬です。そのため国内の医療機関で処方されることは無く、入手方法はインターネット通販などに限られます。今回はこのアボダート(Avodart)の効果や安全性について解説していきたいと思います。
アボダート(Avodart)について
まず、アボダート(Avodart)は基本的に前立腺肥大症(BPH)の治療薬です。AGAの治療が専門の目的という訳ではなく、含有する有効成分の「デュタステリド」が同じと言うだけです。ただし、唯一韓国だけはAGA治療薬として承認されています。
アボダート(Avodart)は、イギリスに本社をおく製薬会社であるグラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmithKline plc)によって製造・販売をされています。世界中に拠点を置くグローバルカンパニーで、日本にも拠点が存在します。世界102カ国以上で前立腺肥大症(BPH)の治療薬として承認を受けていますが、日本では承認されておらず、医療機関で医師に処方されることはありません。
有効成分のデュタステリドについて
ザガーロと同様の有効成分である「デュタステリド」を含むアボダート(Avodart)ですが、その治療目的は違います。もともとAGA治療薬は前立腺肥大症(BPH)という疾患に対しての治療薬として研究が進められていました。しかし、開発の途中で低用量で男性型脱毛症(AGA)に対しての脱毛抑制効果があることが判明し、AGA治療薬としても製造・販売されることになりました。アボダート(Avodart)は本来の開発目的そのままに、前立腺肥大症の治療薬として製造・販売されています。つまり、AGA(男性型脱毛症)にも前立腺肥大症(BPH)にもどちらにも高い効果のある有効成分が「デュタステリド」なのです。
なぜAGA治療にアボダート(Avodart)なのか
さて、承認済みの正規品のザガーロがあるにもかかわらず、本来の治療目的から外れるアボダート(Avodart)の名前が出てくるのはなぜなのでしょうか?それは、AGA治療は保険適用外の自由診療であり、その治療薬であるザガーロの購入も全て自己負担であることが上げられます。要するに治療薬の価格が高いと感じる方が多く、何らかの安い代替え薬を探した結果、海外製の非正規未承認薬であるアボダート(Avodart)などを利用するケースが増加したのです。
このような傾向は、世界初のAGA治療薬であるプロペシアや、ED治療薬の界隈でも多く見られます。
未承認薬の大半が規制の緩い海外で製造されており、安全性のデータが確認できない危険な治療薬です。
アボダート(Avodart)を服用することのリスク
アボダート(Avodart)をAGA治療薬として服用することで、どのようなリスクがあるのでしょうか。
そもそも同じ成分であれば一緒のような気もします。このようなアボダート(Avodart)の危険性についてもご説明します。
偽造薬の可能性
アボダート(Avodart)がザガーロと同様の有効成分であるというのは、「本物だった場合」のみです。アボダート(Avodart)は日本では承認されていない未承認の非正規薬ですので、医療機関で医師から処方されることはありません。そのため、入手方法はインターネット通販などで海外サイトから個人輸入と言う形で購入することになります。これは厳密には違法ではなく、安い価格で海外製の非正規未承認ジェネリック医薬品を購入できるため、増加傾向にあります。その裏で、様々な健康被害も起きており、WHO(世界保健機構)なども警鐘を鳴らしています。このような海外製の非正規未承認薬を購入する場合、その流通経路も不透明で、偽物の偽造薬も多く混入しています。
つまり価格の安さ・処方不要の手軽さにひかれて購入しても、本物でない可能性が高いのです。
すると、効果が無いだけならまだマシで、生命に関わる重篤な副作用が生じる可能性もあります。実際に、過去にはこのような未承認薬による重大事故が世界中で起こっているのです。医師の処方がいらない・価格が安いと言うのは、このような日本では考えられないような製造環境や倫理観の上に成り立っているものであることは、覚えておきましょう。
未承認薬では国の救済制度の対象外
もう一つ、海外製の非正規偽造薬の危険性について触れておかなければならないことがあります。日本に暮らしていて、安全な医療制度や医薬品に囲まれているとあまり意識することはありませんが、正式に承認済みの医薬品を利用して何らかの副作用などが生じた場合、国の定める救済制度を受けるとことができます。
これは、「医薬品副作用被害救済制度」と呼ばれる制度で、その治療に関する治療費や仕事を休職した期間の補償などを受けることができます。そのため、日本国内において医療機関で医師から処方される正規の医薬品に関しては、安心して利用できるのです。
しかしこのアボダート(Avodart)のように日本国内で承認されていない非正規治療薬は、承認に必要な安全性を証明するための臨床試験のデータなどが存在しません。そのため、この救済制度の対象外です。つまりは何があっても自己責任なのです。いくら価格が安くても、このような安全性に関するリスクの大きな治療薬を服用することは大変危険と言わざるを得ません。
アボダート(Avodart)をザガーロの代わりに服用することはお勧めできません
以上、アボダート(Avodart)の効果やその安全性について解説してきました。アボダート(Avodart)は本来前立腺肥大症の治療薬であり、AGA治療薬であるザガーロとはその治療目的が違います。そのため有効成分が同様であることのみに目を向けて、服用することはお勧めできません。またアボダート(Avodart)に限らず、国内で未承認の海外製非正規薬を個人輸入などで購入することは、どのような健康被害があるか分からないため絶対にやめましょう。例えば、プロペシアの海外製の非正規未承認ジェネリック薬などについても多く流通していますが、そのリスクは同様です。何があっても自己責任となってしまいます。
ザガーロは比較的新しいAGA治療薬で、これまでは安価なジェネリック医薬品が存在しないことが、このような未承認薬増加の背景としてありました。しかし、2020年にようやく国内承認済みの正規品であるザガーロジェネリック(デュタステリド錠)が解禁となりました。つまり現在では危険な海外製の非正規未承認薬を購入する意味は薄れてきています。もしアボダート(Avodart)の購入を検討している方がいらっしゃる場合は、ぜひザガーロジェネリック(デュタステリド錠)の処方を医師に相談するようにしてください。