ミノキシジルは、頭皮に直接塗ることで血行を良くし、発毛を促すAGA治療薬です。認知度も高い非常に有名な治療薬であり、確かな発毛を実感できるAGA治療薬です。今回は、生え際・頭頂部などの部位による作用のメカニズムやその効果について、詳しく解説していきたいと思います。ミノキシジルの利用を検討している方がいらっしゃれば、ぜひ参考にされてください。
ミノキシジルの効果について
ミノキシジルは、頭皮の血管を拡張させて、血行を良くする薬です。もともとは高血圧の治療薬として使用されていましたが、服用することで体毛が濃くなるなどの副作用が多く報告されていました。こうした報告などを基に様々な研究や開発が進められ、ミノキシジルは血管を拡張することで、髪の元となる毛母細胞への血流を増加させることが判明しました。
ヘアサイクルと呼ばれる毛髪の生え変わりの循環の中で、本来なら新しい髪の毛が太く成長するはずの「成長期」が短くなり、正常に成長しきれないまま抜け落ちてしまうのが、AGAの一般的な症状です。この悪循環が続くことでどんどん薄毛に拍車が進行してしまいます。
ミノキシジルは血管に作用して血流が増えることで栄養豊富な毛母細胞が増え、ヘアサイクルの乱れを整えて改善することで結果として髪の毛の「成長期」が延長されます。その結果、健康でハリのある髪の成長が促進されると考えられています。このように明確な作用機序がある、有効性の高いAGA治療薬であることがミノキシジルの特徴です。
ミノキシジルの効果が実感できない場合は
AGA症状に対して有効なミノキシジルですが、その効果が感じられないというご相談も良くいただきます。これはミノキシジルが効いていないのではなく、その効果のタイムラグに原因があります。ミノキシジルはその効果を実感できるようになるまでに、約6ヶ月程度はかかります。これは、前述の通り髪のヘアサイクルが関係しています。ミノキシジルを始めとしたAGA治療薬はこのヘアサイクルの循環の中で効果を発揮します。AGA症状が現れている場合、ヘアサイクルが乱れている状態です。乱れたヘアサイクルを整えて、新たな発毛を促し、効果を実感できるまでに一定の時間がかかるのです。
個人差もありますが、早い方で3~6ヶ月程度、遅い方ではそれ以上かかる場合もあります。そのため、最低でも半年ほどはミノキシジルを使用して治療を継続してみましょう。
ミノキシジルとAGA症状・箇所について
ミノキシジルは高い効果を実感できるAGA治療薬ですが、薄毛の進行している「箇所」によって効果に差があることがあります。以下に詳しくご紹介しますので、ご自身の気になる箇所と見比べてみてください。
頭頂部箇所のAGA症状へのミノキシジルの効果
頭頂部箇所のAGA症状へのミノキシジルの効果については、最も高い効果を発揮します。そのため、現在お悩みのAGA症状が頭頂部である場合は、ミノキシジルの塗布は非常に有効です。利用を開始後数カ月のタイムラグはありますが、治療を継続することでその効果が実感できるようになるでしょう。
前頭部箇所のAGA症状へのミノキシジルの効果
頭頂部から前頭部にかけて広い範囲に見られるタイプのAGA症状についても、効果が有効です。しかし、頭頂部から離れて前頭部が中心になってくるとその効果が弱まってしまう可能性があります。というのも、前頭部のAGA症状に関しては頭頂部と比べて薄毛のメカニズムが違ってきます。
前頭部のAGA症状は、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる物質が原因です。そのため、DHT(ジヒドロテストステロン)を生成する「5αリダクターゼ」の働きを阻害することで、AGAの改善が可能となります。この「5αリダクターゼ」を阻害する治療薬については、服用するタイプのプロペシアやザガーロが最も効果的です。そのためミノキシジルと併用することで、このような症状にも対応できるようになります。
生え際箇所のAGA症状へのミノキシジルの効果
生え際箇所へのAGA症状も、ミノキシジル単体ではその効果が不完全と言えます。生え際から前頭部にかけては、頭頂部と比較しても頭皮が硬く、ミノキシジルの効果が浸透しづらい事があります。それから、前述の通り生え際から前頭部にかけては、AGA症状の原因が異なります。同様のDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる物質が原因であるため、ミノキシジルだけだは効果が薄く、プロペシアや
ザガーロなどの「5αリダクターゼ」の働きを阻害する治療薬の服用が最も効果的です。
その他部位箇所のAGA症状へのミノキシジルの効果
それ以外にも、脱毛症状についての疾患は存在します。例えば、「円形脱毛症」などの症状も有名な脱毛症状です。ただし気を付けて頂きたいのは、このような円形脱毛症などの場合、AGA(男性型脱毛症)とは原因が異なります。AGA(男性型脱毛症)は遺伝や環境などの要素により発症することが多い脱毛症状ですが、円形脱毛症についてはストレスや自律神経の乱れにより、体内の免疫機能に異常が生じることで発症します。このため、円形脱毛症に対してミノキシジルを使用することは、あまり効果的とは言えません。それよりも診療内科や精神科などを受診して、メンタルヘルスの改善など根本的な原因の改善を目指しましょう。
ミノキシジルの内服薬と外用薬の効果の違いについて
ミノキシジルには、服用するタイプの内服薬と、塗布するタイプの外用薬の2つのタイプが存在します。
どちらもミノキシジルであることに変わりはなく、治療法やご希望に合わせて選択して構いません。一般的に「外用薬は副作用のリスクが少ないかわりに、効果が若干弱い」、「内服薬は効果が高い分、副作用のリスクが増す」というような相反する特徴があります。ただし、副作用と言ってもそれほど深刻に心配する必要はありません。プロペシアやザガーロなどの別のAGA治療薬と併用する場合などは、ミノキシジルについては外用薬の方が良いかもしれません
ミノキシジルとその他のAGA治療薬との併用について
ミノキシジルとプロペシア・ザガーロなどの別のAGA治療薬については、併用が可能です。これらの薬に互いに作用しあう相互作用が無いためで、併用することでより効果的にAGA症状の改善が見込める場合もあります。ただし、併用が可能と明確に案内できるのは、この2タイプのAGA治療薬についてです。
その他の持病のお薬などとは、何らかの相互作用や併用注意薬に当たる可能性もありますので、受診した際に医師に情報を正確に伝えるようにしましょう。おくすり手帳をお持ちの方は、持参して相談すると間違いありません。
また、近年インターネット通販などを通じて、海外製の非正規未承認AGA治療薬などが多く流通しています。
これらの未承認薬は偽造薬である可能性も高く、どのような危険な成分が含まれているか分かりません。そのため、AGA治療薬を謳っているからといって、安易に利用したり併用したりすることは危険です。
ミノキシジルの特徴を理解してより効果的なAGA治療を継続しましょう
以上、今回は生え際・頭頂部などの箇所による作用のメカニズムなど、ミノキシジルの効果について解説をさせていただきました。ご覧いただいた通り、ミノキシジルはAGA症状の改善に高い効果がある一方で、薄毛の箇所によってはあまり効果が見込めない場合もあります。
そのため、様々なAGA症状に対応できるように、現在ではプロペシアやザガーロなどの「5αリダクターゼ」の働きを阻害する治療薬と、併用している患者様も多くいらっしゃいます。まずは医療機関や専門クリニックを受診して、ご自身のAGA症状について正しく理解しましょう。そのうえで医師の指導の元、最も効果的な治療薬を提案してもらいましょう。